長男は小さいころから実を集めるのが大好き。
公園に行けばどんぐりを集め、食卓にすいかが並べば、その種を集めます。
ある時、かぼちゃの煮物の下ごしらえをみていた彼は言いました。
「カボチャの種を埋めたら、芽出てくる?」
というわけで、やってみました。
スーパーで買ったカボチャの種を土に埋めたら、芽は出るか?
種まき
関東地方でカボチャを育てる場合、3月頃に種まきをするのが一般的なようです。
春先(4月)にスーパーのカボチャ(北海道産)の種を埋めました。
大きなサイズのプランターを使いました。
発芽
あっさり発芽してぐんぐん育ちました。
どんどんツタが伸び始めました。
プランターの外に出し、地面を這わます。
この頃からどこからともなく黄色い虫という虫が現れ、カボチャの葉をもりもりと食べ始めました。
この虫の名前はウリハ虫。
かぼちゃの葉っぱが大好きだそうです。
かぼちゃの葉っぱの勢いがあまりにすごいので、多少ウリハムシが現れて葉っぱを食べても大した被害には見えません。
殺虫剤などは使わず、温かく見守ることにしました。
我が家のまわりは畑はなく、目のつくところにかぼちゃを育ててるおうちは見当たりません。
それでもきちんとカボチャの臭いを嗅ぎつけて、我が家にたどり着くウリハムシ、すごい。
開花
最初に咲いた小さな花
夏になると花が咲き始めました。
最初に小さな花が咲きました。
雌花か、雄花か
カボチャは雄花と雌花があり、雄花の花粉を雌花に受粉させることによって実ができます。
最初に咲いた小さな花は根本には膨らみがなかったので、雄花の模様。
根元にふくらみのある雌花の登場を待ちます。
しかし、一向に根本に膨らみのある花が咲きません。
2番目に咲いた大きな花
秋も近づいてきた頃、大きな花が咲き始めました。
最初この2番目に咲いた花を見た時に、これが雌花かと思いました。
が、根元にふくらみはないし、一向に実はなりません。
やはりこれも雄花だった模様。
スーパーのカボチャの種では実はならないのかなと諦めかけ、しかしそのまま育て続けます。
3番目に咲いた大きな花の雌花
10月になって初めて、根元に膨らみのある花ができました。
雌花です。
雌花と雄花が咲いた以上、受粉さえしていれば実がなる可能性は充分にあるかと思います。
ただし、一般にカボチャを育てる場合は、人工受粉させるようです。
ちょうど花が咲いた頃毎日蝶が来ていたので受粉しているといいなぁ。
と思っていたのですが、、、残念ながら結局実はなりませんでした。
結論
スーパーのカボチャの種は蒔いてみると、芽は出て、花は咲きました。
雄花も雌花も咲きましたが、残念ながら実はなりませんでした。
雄花も雌花も咲いたので、もし、よいタイミングで咲いていれば、受粉して実がなる可能性も十分にあったように思います。
雌花がなかなか咲かなかった理由
雌花がなかなか咲かなかったのは、摘芯をきちんとしなかったせいもあるようです。
摘芯とはが伸びている過程で、適度につるを切ることです。
摘芯の仕方も色々あるようですが、例えば子づるを3本仕立てにして、孫づるは切ってしまうのが適当なようです。
摘芯をきちんとすると、雌花の付きが良くなったり、実の成長が良くなったりするようです。
ネットで調べると……
芽が出たという例も、芽が出なかったという例も両方あるようです。
芽が出たという方の中には実までなったという方も!
やはりスーパーの種でも実を付けることが可能なようです。
でも、市販の種を買った方が実がなりやすそう
しかし、もう少し調べてみるとやはりスーパーで食べるために買ったかぼちゃからとれた種よりも、種として売られている園芸用のカボチャの種を使った方が身がなりやすいようです。
それは食べるために売られているかぼちゃはちょっと特別な種類の「F1品種」というかぼちゃだからとのこと。
さて、「F1品種」って何でしょうか。
F1品種とは
F1品種とはfirst filial generation、雑種第1代のことだそうです。
雑種とは品種などの種類が違う親同士を親に持つ子のことものを掛け合わせたもののことです。
F1品種の作り方
F1品種を作るためには、まずピュアな親を準備する必要があります。
例えば、大きな花をつける、遺伝子をA、小さな花をつける遺伝子をaとします。
ここで、ピュアな親とは、AAやaaという遺伝子を持つ株のことになります。
AAを持つ親とaaを持つ親の子は、両方の親から一つずつの遺伝子をもらえますので、必ずAaという遺伝子を持つことになります。
ここで仮にAを、優性遺伝子とすると、子供の世代は必ず優性遺伝子に由来する性質を持つことになります。
ここでは、仮に、花の遺伝子としましたが、ピュアな親とピュアな親を掛け合わせることによって、子の世代は、花の大きさに関係する遺伝子だけではなく、実の大きさ、実の形など色々な性質が同じになります。
ここでスーパーに並ぶ野菜思い出してみると、お店に出すためには、形や色や味などが揃っていること、品質が均一であることが大切になります。
F1品種とは、ピュアな親とピュアな親と掛け合わせると、子の世代は優性遺伝子に起因する性質が多く現れることを利用して、品質を向上させる方法なのです。
では、スーパーに出回っているF1品種の種を使うとどうなるのでしょうか。
スーパーに出回っているF1品種はAaという遺伝子を持つことになります。
なので、スーパーに出回っているF番品種が持っている種、Aaという遺伝子の親とAaという遺伝子の親の子となります。
Aaという遺伝子の親とAaという遺伝子の親の子は、AA、Aa、aaのいずれかの遺伝子を持つことになります。
すると、メンデルの法則の通り、三対一の確率で色々な性質が異なる世代となるのです。
なぜ小さな花と大きな花が咲いたのか
今回スーパーのカボチャの種を使って、かぼちゃを育てたところ、
- 大きな花の咲く株と
- 小さな花の咲く株
2種類が見られました。
ひとつのカボチャから採った種を使ったはずなのに、どうして、大きさの違う花の咲く株ができてしまったのでしょうか。
それは、おそらくスーパーのカボチャがF1品種であり、スーパーで売られているかぼちゃの親世代の劣性遺伝子に由来する性質が現れたからではないでしょか。
かぼちゃに限らず、市場に出回っている野菜の多くはF1品種であるため、食べた野菜と同じ性質なものができるとは限らないのです。
F1品種を作るために
F1品種を作るためには、ピュアな親を作る必要があります。
自然な受粉に任せていてはピュアな親は作れませんので、人間が人工的に受粉をさせる必要があります。
雄しべをカットする「除雄」と呼ばれる作業を行ないます。
しかし、ひとつひとつの花のお尻をカットする作業。すごくすごく大変です。
そこで登場したのが「雄性不稔株」と呼ばれる、元から何らかの異常で花粉が付かない株です。
この「雄性不稔株」、自然界であれば発生しても自然淘汰されてしまうのですが、F1品種を作るためには重宝されているとのことです。
「雄性不稔株」 を多用することについて疑問視する声もあるようです。
また、F1ではなく自然な受粉に任せた種を固定種、在来種などと呼び、これらの種を積極的に使おうとする動きもあるようです。
確かにこのように自分を人工的に制御したり、「雄性不稔株」を使うということ、本当に将来的に何のリスクもないのか、なんとなく嫌な感じはしますね。
個人的には、品質をそこまで整えなければいけないのかなぁとその価値観に少し疑問も感じます。
まとめ
スーパーのカボチャの種を使っても芽が出て膨らんで花が咲く。 実は摘心や受粉など少し人が手をかけないとしないとならないことも。
でも、スーパーに並んでいるのと同じ実ができるとは限らない。
なぜなら、スーパーに並んでいるかぼちゃはF1品種であり、その子供である、お家で育てたかぼちゃはスーパーのカボチャの親世代の特徴が現れることがあるから。
思わぬ方向の勉強になったカボチャの種でありました。