my little science room

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花いちもんめ(花一匁)のもんめって何?~かなりこわい、はないちもんめの歌詞の意味。

「ママー、はないちもんめのもんめって何?」

ある日、保育園に通う子供からこんな質問を受けました。
花いちもんめ、私も幼稚園の頃に遊んだ記憶があります。
最近の保育園でもやるんですね。
子供の頃から何の疑問も感じずに、「花いちもんめ」で遊んできましたが、
意味はと聞かれるとわかりません。

「はないちもんめ」は「花」と「いちもんめ」に分解できます。
「いちもんめ」をさらに分解すると「いち(一)」と「もんめ」となりそう。
私が調べずに分かったのは、ここまで。

「もんめ」ってなんでしょうか?
そもそも花いちもんめの歌詞ってどんなだったっけ?
はないちもんめの歌詞ってどんな意味なんでしょう?

調べていくと、そこにはちょっと恐ろしい真実の隠喩が隠されていることが分かりました。

もんめとは?

「もんめ」は漢字で書くと「匁(文目)」。
匁には以下の2種類の意味があります。

  • 重さの単位
  • お金(銀)の単位

もんめはなぜ「重さの単位」と「お金の単位」二つの意味を持つのでしょうか。
それは重さとお金は切っても切り離せないものだからです。
昔は、金や銀が貨幣として用いられていました。
金や銀の重さ=お金の価値でしたので、取引を公正にするために、決まった重さの金を一両としました。
ところが、貨幣が流通するようになると、両や匁(もんめ)等の重さの単位を表わしていた言葉が独立してお金の単位としても使われるようになります。
このような背景から、匁(もんめ)は、重さの単位の側面と、お金の単位としての側面をもつのです。
では、いちもんめ(1匁)はどのくらいの重さでしょうか?  
そして、いちもんめ(1匁)は現代のお金でいくらくらいの金額になるのでしょうか?  

いちもんめ(1匁)は何グラム?


江戸時代のいちもんめ(1匁)は3.73gと推定されているそうです。

いちもんめ(1匁)はいくら?

お金の単位としては「両」を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
当時と今のお米の値段を基準にして一両の価値を計算すると、およそ13万円となるそうです。  
また、江戸時代には金一両は銀60~70匁とされていたようです。  
ここから一匁を計算すると1857~2166円くらいとなります。  
ざっくり2000円ぐらいといったところでしょうか?  

つまり、花一匁は、

  • 花3.73グラムか
  • 花2000円

を示すことになります。

ところではないちもんめの歌詞ってどんなだったっけ?

ところで花いちもんめの歌詞ってどんなでしたっけ。
と思い調べ直してみました。
歌詞は地方によっても違うようですので、以下は一例となります。

勝ってうれしいはないちもんめ
負けてくやしいはないちもんめ
となりのおばさんちょっと来ておくれ
鬼がいるから行かれない
お釜かぶってちょっと来ておくれ
釜がないから行かれない
布団かぶってちょっと来ておくれ
布団破れて行かれない
あの子がほしい
あの子じゃわからん
この子がほしい
この子じゃわからん
相談しよう
そうしよう

はないちもんめの歌詞の意味を考える~花いちもんめの花とは何か?~

はないちもんめの歌詞の意味は、花をどのように解釈するかによって大きく異なります。

花の卸売り市場における交渉のお話

まず、初めに花を植物の花であると考える説をご紹介します。
この歌の発祥地は、北総(関東地方の千葉県と茨城県にまたがる地域)にあると言われているそうです。
この地域に鉄道が敷かれたのは大正時代のこと。
この地域の特産の花は毎日汽車に乗り、東京の市場に運ばれたそうです。
卸売市場では花の売り買いが行われます。
花の売り手はできるだけは高く花を売りたい。
反対に花の買い手は安く花を買いたいでしょう。
花いちもんめはこの交渉を描いた、同様と考えることができます。
「勝って嬉しい花いちもんめ」 の「勝って」は「買って」とも読めます。
つまり、「勝って嬉しい花いちもんめ」とは、
交渉に買って安く花を買うことができた買い手が勝って(買って)嬉しいと喜んでいる様子を表わしていると考えることができます。
また、
「負けて悔しい花いちもんめ」
の「負けて」は値段をまけるの「まける」と読めます。
「負けて悔しい花いちもんめ」とは、
交渉に負けて安く花を売らなければならなかった売り手が、負けて悔しいと悲しんでいる様子を表していると考えることができます。

本当は知りたくなかったはないちもんめの歌詞の意味

ここからはちょっと怖い話になります。

花は子供(特に女の子)だという考える説があります。
花いちもんめは子どもの売買を描いた歌だというのです。
はないちもんめの歌詞の後半は、
「あの子がほしい」
「この子が欲しい」
と子供を選ぶような様子が描かれています。
この歌詞の後半からすれば、花は子供であると考える説の方が自然なのかもしれません。

当時の地方では多くの人々が貧しい暮らしをしていました。
明日のお米にも困る生活の中食べ物を得る手段もなく、子供を手放すという選択をする家もありました。
裕福な家の子守りや、丁稚奉公に出される子供もいたし、遊郭に身売りされるこどももいたと言われています。
これらの時代背景から、花一匁の「花」は遊郭に身売りをされる女の子を示していると考えることができます。
この場合、歌詞に唐突に登場する鬼は、子供を買いに来る大人と解釈することができます。
鬼が来ている間、近所の人々(子供たち)は怖くて外に出れなかったのかもしれません。

もしいちもんめの「もんめ」がお金の単位を表すものだとすれば、いちもんめ≒2000円。
子供たちは2000円を基準に売り買いされていたということでしょうか。
ざっくり、米5キロ分。
明日のお米にも困る親が子供を5キロのお米と交換する。
はないちもんめは、何もなき作者が計り知れない思いをいだきながら子供の売買を風刺した唄、そう解釈することができるそうです。

なぜこの歌が現代まで伝わってきているのかを不思議に思います。  
私をはじめ、近代の子供たちは、この歌も歌詞の意味を知らずに、花いちもんめで遊びます。
はたして江戸時代の子供達は、歌手の意味を知って遊んでいたのでしょうか。
それともやはり子供たちは歌の意味を知らずに花いちもんめで遊んでいたのでしょうか。

子供達と遊ぶ時は、あくまで花の売り買いの様子を描いたものであると考えながら遊ぼうと、でも、恐ろしい解釈も頭をよぎってしまいそうだなとも感じたのでありました。

参考文献


出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
https://ja.wikipedia.org/wiki/匁#cite_note-Koizumi1974-345-6

江戸時代の「1両」の価値ってどれぐらいだった?
https://manabow.com/zatsugaku/column15/

童謡、結構奥が深いなと、大人になってから知る日々です。

https://mylittlescienceroom.hatenablog.jp/archives/195mylittlescienceroom.hatenablog.jp

https://mylittlescienceroom.hatenablog.jp/archives/1000mylittlescienceroom.hatenablog.jp